ISCARで学んだこと

とりあえず毎日,朝9時のセッションから夜18時過ぎのセッションまで
真面目に参加した(参加というか文字通り座っていただけなのだけど)。
日本と時差が約7時間なので,はじめは夕方から夜にかけて,
日本時間の夜中にあたる時間がとても眠くてつらかった。
特に自分の発表があった2日目は,部屋に帰るなり
ベッドに横になったが最後,コンタクトレンズもはずさずに眠りこけた。
その後は気楽なこともあってちょっとずつ復活。時差も随分慣れた。
本当は毎日更新したかったのだけれども
こちらはホテルの無線LANが異様に高い(24時間で1500円くらい)。
ネットカフェでは日本語入力ができないし
平日の大学でしかアクセスできなかった。
1日ごとに振り返って様子を書くのは面倒なので
5日間を振り返って学んだことと感想をまとめておくことにする。


1)発達とは何か,教室とはどういう場なのかという問い
特に印象に残っているセッションは
・発達概念の捉えなおしの講演(Hedegaad)
・リスクのある子どもへの学級での関わり(Anne Edwardsら)
南アフリカでのHIV感染への介入に関するもの(van der Riet)
いずれも介入にあたって,個への視点だけでなく
cultural heritageという視点をもっていた。
socio-cultural Approachの学会なので当たり前のことなのだが
改めて,自分は「発達」をどういうものと考えるのか,
突きつけられた思いがした。
またこの学会ならではで
Activity Theoryを用いた介入研究が多く見られたが,
介入が本当に必要なのか,
どういうプロセスでそういう介入がはまっていったのか
そのあたりも詳しく知りたいと思ったし
自分としても明確にしていく必要性を感じた。
自分のポスターでは,投稿中の論文を発表した。
学級目標のような標語が教室の中でどのように機能され
子どもに受け入れられていくのか,というもの。
「標語はルールとは違うのか?」
「子どもによる更なる創造の余地が残されているのが面白い」
といった指摘が印象に残っている。
日本の教室は,緩やかな制約の中で,相互作用を通して
それぞれの学級らしさのある一つの場が創られているのだと思う。
まあそういってしまえばおしまいなのだけれども
やっぱりこれを基本に,
それがいかに面白いことなのかを書いていかなくてはな,と。


2)友達の輪と体力作り
学会ではstudent meetingなるものがあり,
私は気後れして参加しないつもりだったが
日本から来ているほかの院生がとても積極的で一緒に行くことになった。
みんなでメーリングリストを作ることになり
昼ごはんを一緒に食べたりした。
英語にひどく苦労して,もう必死でコミュニケーション。
親日家のアメリカ人数名と親しくなることができた。
そのうちの4人とは夜中1時過ぎまで飲んだ。
どこの国も学会のときは若者は夜中まで飲むらしい(笑)。
彼らはその後もダンスに行くというのでさすがに先に帰ることにした。
なんてタフなんだ!しかも食べる量が半端じゃない。
翌日尋ねると4時半まで遊んでいたとのこと。
でも朝のセッションにはちゃんと出ていた。
また別の2人とは,帰りの飛行機の待ち時間を一緒に過ごした。
かなり飛行機が遅れ,私たちは乗り継ぎがギリギリになってしまい
広いマドリッドの空港であたふたする私たちを
彼らはインフォメーションデスクに聞きに行ってくれたり
どのgateかを見出し教えてくれたり。
本当にお世話になった。
みんなUCLAやUC San Diegoの優秀な学生たちで
食欲・体力・知力・生活力,いずれも負けてるなー…と思ってしまった。
数年後にはもうちょっとちゃんと一緒に議論できるようにしたいものだ。
本当に良い刺激を受けた。


3)背景知識を豊かに
そして全体を通して,毎度のことながら,自分の背景知識の少なさを実感。
発表の中に出てくる文献をあれこれメモったので
日本に戻ったらちゃんと読もう・・・。


4)ポイントを絞った発表を
以前に大学で英語プレゼンテーションの講義を受けたことがある。
そのときに発表を通して一番言いたいことが伝わるように
シンプルにプレゼンしろと教えられた。
昨年の発達心でも當眞先生にそういうことを指導していただいた。
実際にプレゼンテーションが英語でなされる場に来てみると
意外とみんな盛りだくさんにしすぎて結局よくわからなかったり
時間をオーバーしてしまったり。
正直,こんなものなのか,と思うほど
(もちろんすばらしい発表もたくさんあったけど)。
そういう意味でプレゼンの仕方という点でも勉強になった。


5)英語・・・
英語には本当に苦労した・・・(;_;)
国際会議だけあって,ありとあらゆる国から参加している。
北米やスペインはもちろん,ヨーロッパ各国に南米,北欧,アジア。
ネイティブじゃないとなまりが強くて聴き取れず
ネイティブの英語だと早すぎて聴き取れず(おいおい)。
どのシンポジウムもパワーポイントがあればどうにか理解できるが
何もなしでわーっと話されると厳しい。
発表後の議論も非常に活発で日本の学会とは随分違う。
その議論も聴き取るのは厳しい・・・。
親しくなった友達との英会話も,何度も聴きなおしたり
はちゃめちゃ英語で話したり。
我ながらよくこの英語力でポスター発表を乗り切れたものだと思う。
帰ったら絶対にヒアリングマラソンを始めようと決意した。
この5日間,朝から晩まで英語を聞き続けたことで,
かなりリスニング力はついた気がする。
ホテルで見るCNNも結構聞き取れる。
この耳を保たなくては。


ということでいろんな面で勉強になった初国際学会だった。
今度はAERAやAPAにも参加してみたくなった。


あともうちょっと遊んでから帰ります。
またホテルのLANが高いので更新はしばらくあとになります。