苦しいところ/講義で学ぶ

週末、久々に論文指導ゼミに出る。
このところずっと、データをあれこれいじったり、
論文をあれこれ引っ張り出したり、いろいろ試すものの
行き着くところは見えそうで見えず、うだうだと唸り続けていた。
なんとか自分なりに落としどころを見出したいと思って
一番面白いと思うところ、一番いいたいところだけは自分なりに考えて出た。
何とか形になるまで、今が一番苦しいところ。


今日は東大にて佐藤公治先生の集中講義に参加。
内容も何も聞かず、とりあえず参加してみたのだけれど、
学部の授業で、テーマは「人間精神への社会・文化的接近の可能性」だった。
朝9時から夕方6時近くまで、ものすごい勢いでお話くださる。
ヴィゴツキー理論について、ピアジェとの比較や、その後の欧米の研究など
かなり体系的、網羅的に復習できた。


思えば学部4年のとき、「心理学概論」の授業の最後に先生が
「歴代心理学者で一番すごいと思うのはピアジェだ」と言ったのを
今でも覚えている。その先生は「生物心理学」の先生で
動物の認知や行動、脳や神経系のメカニズムなどが専門だったから
「え、ピアジェなんだ?」と意外だったのだ。
でも今日の講義を聴いて改めて頭が整理されたのだが、ピアジェ理論では
知能は一つの「適応様式」と捉えられていて、
環境との相互作用の結果発達していくものと考えられていて
ヒトを含め、生物に普遍の理論を展開しているわけで、
だからあのとき先生はピアジェを挙げたのかなぁなんて思ったりした。


ヴィゴツキーについては、学部ではほとんど触れたことなかったなぁ。
実験室を研究の中心にしている限り、無縁な理論なのかもしれない。
学校なり何なり、人が日々生活を営んでいる実践現場に入ってみると、
そこには当然、社会・文化・歴史的な様々な要因が絡み合っているから
ヴィゴツキアンの発想が遥かに身近に感じられる。
今回の講義も、自分のデータに引き付けて考えると理解しやすい。
ヴィゴツキーにまつわる基本的な理論はさすがに理解しているつもりだけれど、
改めて体系的に説明してもらうと、穴が埋まっていく感じがするし。


ちなみに、ワーチの紹介のスライドに
去年の札幌セミナーの懇親会での写真が使われていたのだけれど、
数名がワーチと話している横で
一人真剣な顔をしてジンギスカンをつついている私が写っていてびっくりした(笑)。