2日目

ポスターには発達や教育もいくつか出ていたので
いくつか見て回り,お話を聴いてきた。


午後は「心と発話」へ。
ポスターに行っていたので途中から参加し
最初のほうは残念ながら聞けなかった。
多くの研究では「発話データ」が扱われるけれども
それは「心」とどうつながるのかということについて
実験研究の立場や,質的研究の立場から議論されていた。
このWSのメンバーで数年前にやっていた
データの質的な部分をどう扱うかというセッションでは,正直,
うーん,それって質的な研究といえるのかしら・・・と思った記憶があるのだが
今回は,そういう違和感はなく,
それぞれの研究法によって質的なデータの扱い方が
ある程度定まってきたのかなという印象を持った。


ところでこのセッションはなんといっても
霊長類研の松沢先生の指定討論がすごかった。
プロジェクタにつないだ途端,先生のPCは壊れ,
立ち上がらなくなってしまったらしい。
チンパンジーのビデオを用意していたそうなのだが
急遽,映像なしでコメントすることになった。
チンパンジーの実態を語るくだりで
なんとご自身がマウンティングの声をやって聴かせてくださった。
静寂な会議室に響き渡る,チンパンジーの吼え声。
おそらくビデオ以上に伝わるものがあったのではないかと思う。


夕方は「協働のデザイン」へ。
学校現場における協働を取り上げて
ケース・コンサルテーションの場で連携が図られていくプロセスで
いったいどういうことが起きているのかという発表と
演劇的手法の提案がなされた。
「問題」を見るときに,メンバー同士で他の見え方が了解されてくることの重要性,
あるいは,研究者として外部から俯瞰的に眺めて分かった気になることの問題,
そして,分かりきれないこともある意味では必要ではないのか,
といったことが議論された。
結局どうやったらうまく連携できるんだろう,と考えると
なんだか途方にくれるような思いがするけれど
実践に入り込みつつ,省察しつつ
そこで生成されてくる変化を見出していくしかないのかなぁと思った。
「連携」「協働」というと「大事だよね」と思うけれど,
当然ながら実際にはそう簡単でない。
今回のWSでは,その難しさの意味が少し分かってきたような気がした。