行動の二形態


近頃睡眠不足のせいか,調子がおかしい。
昨日の朝なんて,おかしな行動をとってしまった。
雨の中,家から駅まで必死でテクテク歩いて
ようやく駅に着き,改札を入った。
ふと気づくと,なんと傘をさしたままだった!
あわてて閉じて,何事もなかったかのようにホームへ。
見ていた人はかなり驚いただろう(^_^;
自分でもびっくり。
なんか,傘をさしていることすら忘れ,何も考えず
ただひたすら機械のように歩いていたのだ。


昔,荻野恒一先生の精神病理学のテキストを読んでいるときに
ジャネの理論と絡めて2つの行動様式が述べられていたことが思い出された。
以下,読んでメモしていたこと。

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一つは,新しい場面でとられる意識的,緊張的態度である。
このときには,現実に生きて行動しているという現実感や,
自分の意志で現実に有効・適切にふるまっているという自由感と活動感がある。
もう一つは,慣れて自動化した場面で,もはや緊張的態度を必要としない,
無意識的,自動的態度である。
このときにはもう現実感や自由感が失われ,気楽さと無緊張の状態である。
例えば離人症は,「何を見てもぴんとこない」「仕事をしていても
自由感と活動感がわかない」という状態になるが,
これは,毎日の現実生活において,
現在を認識し体験しているという現実感や実在感が喪失し,
有効・適切に行動しているという実感,活動感が失われているのである。
一方,強迫症や恐怖症は,現実の場面に直面して取る緊張的態度と,
習慣化された自動的な態度の両者が並存し,干渉しあう。
ひどくなると,自動的な現象に注意を固定し,
かえってこの現象にのみ意識的,緊張的態度をとるのである。

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私が傘をさしたまま改札に突っ込んだのも,行動が自動化されていて
意識的態度との調整が全く機能していなかったわけである。


そんなわけで。今日一日は,
世間はセンター試験で忙しそうな中
ゆったりと過ごして休んでいたのだった。